ケーススタディ形式の質問で思考力を磨く

もし子どもの判断が明らかに間違っているとか、思い込みや先入観による浅い判断だった場合は、たとえば「こういうことが起こる可能性はない?」「もしこうなったらどうする?」などと、親が追加情報を提供してもよいでしょう。

たとえば子が「この学校に行きたいと思う」と言ってきて、それがたとえば学校の先生に勧められただけだとか、子の個性に合っていないと感じた場合。

「どうしてその学校にしたの?」「その学校に行けばあなたのやりたいことができそう?」「その学校についてこんなことを聞いたことがあるんだけど、どう思う?」などと、子の希望にフィットした学校選びになっているかを問うてみることです。

合理的な判断には論理的思考力(物事の関係性を捉える力)やクリティカルシンキング(物事の本質を捉える力)、想像力(因果関係を捉える力)が必要ですが、親がケーススタディ方式で質問を与えて行けば、そうした力を養う訓練になります。

そして、短絡的な判断に終始せず、様々な視点を考慮し重層的な思考で判断できるようになります。

もちろん、子どもは持っている情報が少なく、選択肢も少ないもの。そこで、親は可能な限りの選択肢を提示したり、あるいは試させたりして、子の世界観を広げるサポートは有用です。たとえば子どもの習い事などは、親が情報を集め「こういうのがあるけど行ってみない?」などと入り口を開けてあげるとか。

子どもの受験に際しても「こういうおもしろい学校があるみたいよ」など、子の力だけでは集めきれない情報を提案してみる。それこそ海外のイベントや学校などは、子はなかなか思いつかないでしょうから、親からの情報提供が役立つ場面は多いでしょう。

大前研一さんも実践! 家族旅行で企画力を磨く

子どもの自主性や積極性、挑戦心を養うには、家庭の中でイニシアチブを取る経験を積ませることです。つまり家族のリーダーシップをとる役割を与えるのです。

たとえば家族旅行の計画は、予算と日程だけ与えて子にすべて任せ、ツアーコンダクターをさせてみるという方法があります。

行き先はもちろん、交通手段の選定、宿泊先の選定、旅行先を巡る順序などなど、子がすべて考えチケットも手配させ、当日のガイド役もすべて任せる。それによって、企画力や自分で決める力、リーダーシップの訓練になります。

実際この方法は、アタッカーズビジネススクールの大前研一氏や、金沢工業大学の三谷浩二氏など、コンサル×実業を経験している人も取り入れています。

もちろん、たとえば家族4人なのにツインの部屋しかとっていなかったとか、予約ミスがあったりなど失敗もあるかもしれませんが、これも大切な経験です。

想定外のミスや出来事に対処する経験は、その場その場の状況で臨機応変に対応する力がつきます。それは不測の事態に慌てない強い精神性を養ってくれます。