ビジネスホテルの女性宿泊客も増加

日本において「男女雇用機会均等法」(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律。「雇均法」)が施行されたのは1986年4月です。法律が施行されても「男女差別」は続き、当時の意欲的な女性にとって、気苦労の多い時代でした。ようやくこの10年で“こなれてきた”ように思います。かつては女性の活躍の場が限定的だったのが、最近は「男だけ」のイメージが強かった職種、たとえば電車やタクシーの運転業務にも、女性が目立つようになりました。

それに、現在の多くの職場は「女性が男性と変わらない仕事」をしています。そうなると、たとえば出張も普通にこなします。

各種の「顧客満足度調査」のビジネスホテル部門で1位に輝く「リッチモンドホテル」というビジネスホテルがあります。この会社に「最も利用する世代」を聞いたところ、「男性は40代と50代、女性は20代と30代」とのことで、統計はとっていなものの、肌感覚で女性の出張客が増えていることを感じるとのこと。朝食ビュッフェに注力し、例えば山形では山菜そばや芋煮、長崎では皿うどんなど、出張先の郷土料理が楽しめる工夫がなされています。

冒頭の「きしめん店」もそうですが、出張先のホテルでもこの世代の女性をよく見かけます。時代が流れているのを感じます。

かつて女性の職場進出が限られていた時代、男性に伍して働くため結婚や出産を犠牲にした人も多くいました。「オッサン社会の一員となるため」だったのです。冒頭に掲げた「しなやかにオッサン化する」はそれとはまったく違う意味。私はこれを消費行動のおじさん化と呼んでいます。

前回の記事(変化に強い力を磨くための3つのポイント)で紹介した、作業着専門店「ワークマン」の新業態「ワークマンプラス」が大ブレークしている事例もこの流れです。通常の店舗より女性客が多く、とくに子育て世代では機能性の高いワークマンの靴を好む人が多くいます。