外来の征服民族、満州人

満州人はツングース系民族であり、広義の意味でモンゴル人に含まれます。ツングースとは「豚を飼育する人」という意味を持つと言われます。韓国で、焼き肉屋さんへ行くと、サムギョプサルなどの豚肉が牛肉よりも主流なのはツングース系民族の豚肉食文化の伝統を引き継いでいるからでしょう。

満州人は「ジュルチン」と呼ばれていました。「ジュルチン」とは満州語で、「人々」や「民」を意味する言葉とされます。中国人(漢人)が満州人に「お前たちは何者だ?」と問うたところ、「人々(ジュルチン)だ」と答えたことから、満州人は中国で「女真」(=ジュルチン)という漢字をあてられるようになります。

満州人は水に縁起を感じていたため、水を表す「さんずい」を付けて、「満洲」と名乗っていました。「満洲」はもともと民族名でしたが、地名にも使われるようになり、「さんずい」のない「満州」が特に地名として一般的に表記されるようになります。

後漢書』では、満州人が臭くて不潔(「臭穢不潔」)と記されています。満州人は尿で手や顔を洗い、家ではなく穴の中に住んでいたとされます。豚の毛皮を着て、冬には豚の膏を身体に厚く塗って、寒さをしのぎ、毒矢をよく使用しました。

満州を原住とする満州人は紀元前1世紀頃から5世紀頃まで、満州人の国家である高句麗の台頭とともに、朝鮮半島へ南下拡大し、いわば外来の征服民族として朝鮮半島を長年支配しました。

この満州人の民族的血統を強く受け継いでいるのが朝鮮半島北部の人々、つまり、北朝鮮人です。一方、南部の韓国は韓人の血統を強く受け継いでいます。

10~14世紀に、統一王朝の高麗(満州人が多数派の政権)が成立すると、韓人と満州人との混血が進みます。また、この時代に、満州人・韓人・中国人(漢人)の言語が統合されて、いわゆる朝鮮語の基礎ができ上がり、体系化されていきます。そして朝鮮半島で、韓人と満州人は血統や言語の上でも、慣習・文化の上でも融合していきます。

このように、朝鮮民族が一つになって共に生きたのはせいぜい1000年ぐらいです。文大統領は「1919年韓国建国説」や「民族5000年説」などの奇説を持ち出し、歴史の事実を曲げて、「私たちの民族は一つ」というファンタジーを吹聴しています。

北朝鮮と韓国の統一という政治的な都合を優先するために、歴史の事実を改ざんするような言動が許されるのか、韓国の人々にこそ、よく考えていただきたいものです。

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