年齢とともに「頑張らなくなる」

次に「年齢の変化」を見ていきます。引き続きアムラー世代で考えましょう。時は流れて40歳前後となった彼女たちに、現在のファッションの好みを聞いてみました。

「昔はヒールの靴ばかり履いていたのですが、最近はスニーカー、バレエシューズなどのペタンコ靴が多くなりました。ただし、仕事の打ち合わせのときにはパンプスを履くようにしています」(1978年生まれの女性編集者&作家)

「学生時代はブランド品を結構持っていましたが、最近はあまり買いません。好きなブランドでも、ロゴが目立つものは買わない。昔は洋服の平均単価が高かったけど、ファストファッション人気以降、価格が下がったと思います。もともと好きだったZARA以外、ユニクロ、H&Mも取り入れるようになりました」(同)

当時ギャルファッションを好んだ人と同一人物ではありませんが、時代性はうかがえると思います。とくにファストファッション流行の影響を強く受けていることがわかります。そして年齢とともに、ファッション性だけでなく「無理しなくなる」「頑張らなくなる」傾向にあり、機能性をしっかり見るようになっていることもわかります。

年齢を経ると服の好みが変わるだけではなく、「買い物経験」が蓄積されます。多くの人に「あの時はいいと思って衝動買いしたけど、買ってからほとんど着ていない」という服があるでしょう。そうした経験値が積み重なると、買い物も慎重になります。

とくにある程度、値段が張るものは「その時の自分にピンときたもの」を手にしながら、使用シーンをイメージしてから購入したりします。もちろんこれは人によるのですが、総じて、安易にメーカー戦略に乗らなくなります。

ユニクロが再評価されるワケ

最後に「ステージの変化」について見ていきましょう。実は現代は「年齢と消費の好みの関係性が薄れてきた時代」。むしろ関係性があるのは「ステージ」です。小さなお子さんを持つ人はおわかりでしょうが、とくに都市部では母親の年齢はさまざまです。そして、その年齢差によって消費の好みに大きな差があるかというとそうではなく、彼女たちの興味の対象は似ています。

子育て中の女性に話を聞くと「ユニクロが便利」という声も多いのです。昔のブーム時は、みんなが着た反面「ファッション性がイマイチ」と言われ、「ユニバレ」(ユニクロであることがバレる)という言葉もあったほど。それが現在は、機能性のよさに加えてファッション性も上がり、ブランドとしての評価はさらに高まりました。

また、子育て中はとくに「自分よりも子どもへの投資意欲が高まる」傾向があります。

たとえば、毎年4月に必要となる、小学1年生のランドセル。その商戦は年々早まっており、早いところでは前年の1月からカタログを公開します。つまり入学の1年以上も前から購入検討が始まり、平均価格はかなり高い。土屋鞄製造所のような人気ブランドでは7万円台にまで上昇しています。業界団体の「日本鞄協会 ランドセル工業会」の2018年のアンケート調査でも、平均購入金額は5万1300円だったそうです。

そうしたなかで、自分の服への投資を抑える人もいます。