「ワークマン」がなぜ女性にウケているのか

このように、単に“子育て世代”をターゲットにするのではなく、“ステージの変化の中での子育て世代”を考えたとき、例えば「本当はおしゃれもしたいのだけれど、今は機能的で動きやすい服が欲しい」「本当は自分にも投資したいけれど、今は我慢」といった人々の本当の心理が見えてきます。ユニクロの再評価は、そうした細かな心理とうまく沿って起きたのではないでしょうか。低価格の魅力に加えて新たな付加価値を実現できたということです。

その意味で、昨年話題になった作業着専門店「ワークマン」の新業態「ワークマンプラス」も面白い事例です。通常の店舗より女性客が多く、子育て世代では機能性の高いワークマンの靴を好む人が多くいます。

時代の変化の中にいる消費者をよく観察し、その消費者のステージの変化に着目したとき、単に機能性や単に低価格だけを訴求するだけではない、新たな展開が見えてくるでしょう。広告宣伝の表現にしても、最終的に端的な表現に集約されるにせよ、深みや広がりが感じられるものをつくれるようになるはずです。