女性の自律神経の働きは、30代から衰え始める

特にストレスを感じていなくても、会議で重要なプレゼンをしたり、アポイントに遅れそうになったりと、ちょっとした気持ちの変化でも自律神経は乱れるそう。さらに自律神経の働きとバランスは加齢とともに悪くなる傾向があると言う、小林先生。

イラスト=二階堂ちはる

「今までと同じ生活なのに、疲れが取れなくなったという実感はありませんか。それは加齢によって自律神経の働きが悪くなったから。女性の場合は30代から40代にかけて働きが悪くなり、特に副交感神経の働きは10年で約15%も低くなることがわかっています。そこにストレスがかかり、自律神経がさらに乱れれば、体に不調が出るのは当然です」

加齢のせいだと思っていたことが実は自律神経に起因しているのであれば、逆に自律神経のバランスが整えば、今まで悩まされていた不調が改善されるということ。

「体が健やかになれば、心に余裕ができて、精神的な負担も軽くなりますし、ストレスそのものを感じにくくなるという好循環が生まれます。ただ、自律神経が乱れていることに気づいていない場合も多いので、まずは自分の自律神経のバランスをチェックしてみましょう。そして、どんなことで自分はストレスを感じるのか、何をするとリフレッシュできるのかを見つけて、ストレスと賢く向き合っていくようにしたいですね」

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授
ロンドン大学付属英国王立小児病院外科や、アイルランド国立小児病院外科などに勤務。帰国後、順天堂大学に日本初の便秘外来を設立。自律神経研究の第一人者として知られ、数多くの著書を執筆。