自律神経の乱れが、深刻な病気につながることも

▼ストレスが引き起こす自律神経失調症って?
知っているようで意外と知らない自律神経失調症。なぜストレスが自律神経に影響するのか、どんな症状が現れるのかを解説。

自律神経とは、内臓や血管など、体内の働きを司る神経で、大きく「交感神経」と「副交感神経」に分類される。交感神経は主に日中に働き、体を緊張や興奮状態へと導く。逆に副交感神経は夜や睡眠中に活発となり、日中の活動に備えて、肉体や精神をリラックスさせ、休息させる。この2つが交互にバランスよく働くことで、生命活動と心身の健康が維持されている。

イラスト=二階堂ちはる

「ところが、ストレスを受けて緊張状態が続くと、交感神経が活発に働く状態が続き、バランスがくずれるのです。交感神経には血管を収縮させ、血圧を上げる働きがあります。つまり交感神経が優位な状態が続けば、血流が悪い状態が続くということ。肩こりやむくみやすさ、冷え、慢性的な疲れや倦怠(けんたい)感、寝起きの悪さや頭痛なども引き起こします。女性は月経痛などに現れることもあります。こうした体のサインを『軽微なもの』『体質だから』と思うかもしれませんが、これらの不調が新たな身体的ストレスを引き起こし、さらに症状が重くなるという悪循環に陥ることがあるのです。自律神経の失調は血流障害でもありますから、放っておけば、脳梗塞や心筋梗塞の恐れも出てくるのです」

休息を司る副交感神経には免疫細胞の生成を促す働きもあるため、バランスがくずれると免疫力が下がり、風邪を引きやすくなったり、がんになりやすくなることも。自律神経の乱れは、意外にも多くの病気を引き起こしている。

「また自律神経は臓器の働きにも作用しています。消化が悪くなるので、胃がもたれたり、太りやすくなります。なかでも腸は、動きの約半分が自律神経でコントロールされているため、症状に現れやすい。便秘や下痢などの症状がある人は、自律神経の乱れを疑ったほうがいいですね」