悩み【5】
おしりが腫れているようで、座っただけで相当痛い! 熱もあるみたい……

うみのトンネルができて化膿を繰り返す病気。女性でもかかります

肛門周囲が腫れてうみがたまり、激しく痛みます。38~39℃の発熱を伴うこともあります。原因は下痢やストレスによる免疫力の低下など。男性に多い痔ですが、女性もなります。まずは肛門陰窩(いんか)という歯状線にあるくぼみに細菌が感染して炎症が起こり、化膿してうみがたまる肛門周囲膿瘍(のうよう)に。この症状が繰り返されると、やがて細菌の入り口と肛門の外の皮膚がトンネルのように貫通し、穴痔(痔瘻)になってしまいます。

うみが排出される道ができトンネル状の穴が開く。(イラスト=長野ともこ)

【治療法】
 肛門周囲膿瘍は、抗生物質等の薬か、腫れている部分を切開してうみを出すだけで治ります。穴痔になってしまった場合は入院か日帰りによる「切開開放術」「括約筋温存手術」のほか「シートン法」という処置を行います。

▼痔にならないために気をつけたい5つのこと
(1)排便の習慣
いきみすぎは肛門に負担をかけるので、排便時間は、たとえ残便感があっても3分以内で済ませる。便意は我慢しない。
(2)食事
胃腸の働きを活発にして便意を起こさせるために、朝食は抜かない。食物繊維をしっかり取る。辛いものは痔を悪化させる。
(3)十分な水分
1日1.2~1.5リットルを食事以外から取る。アルコールやカフェイン飲料は、水分に含めない。アルコール類はうっ血の原因に。
(4)運動
腸を動かし、便通を整えるために、適度な運動を心がける。過度な運動は肛門に負担をかけることもあるのでほどほどに。
(5)お風呂
全身を温めることで血行がよくなり、うっ血も防げる。シャワーで済ませず、毎日湯船に浸かるのが理想的。
山口トキコ(やまぐち・ときこ)
マリーゴールドクリニック 院長
東京女子医科大学大学院修了。2000年に日本初の女性による痔の専門クリニックを開業。著書に『女医が教えるおしりの本』など。
 

イラスト=長野ともこ