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未然に防ぐ方法は、あるのか

特定の社員の存在によって、職場が分断するというケースは少なくない。経営者あるいは管理職は、問題が拡大しないために何をすべきかわからず、頭を悩ませることになる。

ポイントは、「指摘すべきは具体的な行動」ということだ。とかくやってしまいがちなのは、「他の社員と仲良くやりなさい」と指摘することだ。はっきり言って、一度壊れた人間関係を修復することは容易ではない。まして社長がひとこと言ったからといって、人間の他人に対する感情が変わるということはない。

変えることができるのは、性格ではなく行動のみだ。指摘するときには、「〇〇さんの説明を求める発言を無視して、説明を怠ったことがおかしい」と具体的な行動を指摘することだ。しかもあとになって指摘すると「無視していません」と反論されるので、気が付いたときに声をかけるべきだ。はっきりしない態度で指摘するのは、かえって相手に自信を与えることになる。「何も言いきらない人だ」と。

組織はダムのようなもの。穴は小さなうちに

ケースによっては、弁護士同席のうえで指摘してもいい。私も、職場の環境が改善しないという場合には顧問先の面接に同席することがある。その場で会社として問題としてとらえている行動を指摘するのだ。ここでは性格などについては、一切触れない。こういう部分に踏み込んでコメントすると「それは人格に対する批判ですか。パワハラだ」と言われかねないからだ。弁護士という第三者が同席するというのは、それなりに効果がある。「社長も本気かもしれない。とりあえず態度を変えておこう」という気持ちになるようだ。

組織というのはダムのようなもの。小さな穴があくことで一気に瓦解することがある。小さな穴を見つけたら放置するのではなく、早めにフォローすることが経営者や管理職の役割と言えるだろう。小さいときこそ、まだ対応できるのだから。

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