※本稿は、「プレジデントウーマン」(2018年7月号)の掲載記事を再編集したものです。
子宮体がんは、40代後半から増加
子宮がんには、子宮の入り口の頸部(けいぶ)に発生する子宮頸がんと、体部にできる子宮体(子宮内膜)がんがある。子宮頸がんの原因は、主に性行為で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)で、20代、30代で子宮頸がんを発症する女性が多い。
「HPVに感染してもほとんど免疫力で排除されますが、一部が持続感染し、5~10年で異形成から上皮内がん、命を脅かす恐れのある浸潤がんに進行する場合があります」
がん研有明病院婦人科副部長の金尾祐之医師は、そう説明する。一方、子宮体がんは、主に女性ホルモンのエストロゲンが関与するがんで、閉経前後の40代後半から増加し50代から60代の女性に多い病気。初期の自覚症状は不正出血だ。
子宮がんで頼れる病院はどこか。DPCデータを集計し、子宮がんの手術症例数の合計が多い順に50病院をリストアップ。「子宮全摘手術」は、子宮頸がん、子宮体がんで子宮をすべて摘出した手術の合計数。「レーザー・子宮頸部切除手術」は、上皮内がんなど初期の子宮頸がんに対して行われる治療法で、子宮頸部を円錐(えんすい)状に切り取る。子宮を残せるので、早期発見のメリットは大きい。子宮体がんでは子宮を摘出することが標準治療であるが、妊娠の可能性を残したい場合、早期子宮体がんに限って黄体ホルモン療法が行われる場合がある。その場合もホルモン治療の効果を定期的に評価するために「子宮内膜掻爬(そうは)手術」が必要となる。
2018年4月から、子宮頸がんで子宮を全摘する手術(広汎子宮全摘手術)は、施設基準を満たした病院での腹腔(ふくくう)鏡手術が保険適用になった。早期の子宮体がんでは、腹腔鏡手術に加えてロボット支援手術も保険を使って受けられる。
腹腔鏡手術は、腹部に小さな穴を4~5カ所開け、そこから小型カメラや手術機器を入れて画像を見ながら行う手術法だ。
「開腹手術に比べて出血量が少なく、骨盤の奥の狭い場所にある子宮頸部でもモニターで拡大して見て、排尿に関わる神経などを温存しながら精緻な手術ができます。また、開腹手術に比べて痛みが少なく、術後の回復も早いのが特徴です」(金尾医師)
ただ、医師の技量によって差が出やすいのがデメリットとされる。
「子宮がんの病院選びのポイントは、手術症例数がある程度多く、日本婦人科腫瘍学会の婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科内視鏡学会の技術認定医がいることです。手術後も通い続けることになるので、できるだけ近くで、話しやすい主治医を見つけてください」と金尾医師は語る。