働かない“社内マンボウ”へのいら立ち

配属された宣伝部での仕事は楽しく、よい上司にも恵まれた。一流アーティストと仕事をしたり、まだ始まったばかりのCRMも学ぶことができたが、あるとき社内に「全然仕事をしていないおじさん」がいることに気づく。「社内マンボウ」は喫煙室に行ってただプカプカしているだけなのに、なぜか部長で給料も高い。それなのに「一生懸命働いて、力を発揮している女性はなぜ課長なんだろう?」と感じた。

セフォラ時代

「いわゆる年功序列が歴然と存在していたんですね。だから、いつまで経っても私は会議に呼ばれないわけですよ。偉くなろうと思っていたわけではなかったのですが、何かが決まっていく会議に出て、自分もディシジョンメイクをしたかったのです。なぜ女性で若いと会議に呼ばれないんだろう?という疑問があり、理不尽だと感じていました」

そんなとき、アメリカに帰国した元同僚から、日本進出する企業に行ってみないかと声が掛かる。「働きぶりを認めてもらえるところで、フェアに働きたい」と転職を決意。30歳でLVMHグループの化粧品会社に入社した。

そこにはもう社内マンボウの姿はなかったが、180度違う業界で面食らった。ルイ・ヴィトン命、という社員がほとんどの中、上司から「PR担当としての自覚が足りない!」という叱責(しっせき)の声が飛んだ。プレスという特殊な部署で『プラダを着た悪魔』のような見栄の世界についていくことができず違和感を覚えていたとき、グループ内企業に異動。MD、販売促進など、さまざまな業務を担当しながら実績を積んでいき、ようやくこの世界に慣れてきた。

だが、そう思った矢先、思いがけない転職話が舞い込んだ。それが、冒頭の新生銀行からのヘッドハンティングだった。