簿記3級レベルの知識があればまったく問題ない

また、いろいろな財務諸表をチェックしていると、「あれ? これおかしい」ということがあります。それまで毎年2%ずつぐらいのペースで成長してきている数字が並んでいたのに、急にボコッと売り上げが上がっているとか、原価がどんどん増えているようなことがある。そういった数式などの間違いにも、すぐに気付けるようになりました。

数字的なセンスはどの職種でも、持っていると強みになると思います。話の説得力が増すんです。そのためには、やはり日頃から今の数字だけでなく、前年比でどうなのか、来期はどうなるかを意識しながらトレンド数字をよく見て、感覚をつかむことが大事です。

数字が苦手な人は「あっ、どうせ私にはわからないから」と思って目を背けてしまうことが多いのですが、数字アレルギーを持たないこと。特に損益計算書は売り上げと営業利益、一番下の当期利益だけを見て、もうかっているかもうかっていないか、赤字かどうか、あとは前年より増えているか減っているかを確認するだけですから、少し訓練すれば読めるようになります。

基本的には一番上からの引き算。だから、足し算引き算だけでOKなんだとか、どういうものが要素としてあるのかが、大枠でわかれば十分。簿記3級レベルの知識があればまったく問題ありません。難しい経済学なんて必要ないんですよ。

1992年:立命館大学産業社会学部を卒業後、パソナ(旧テンポラリーセンター)に入社。営業部に配属
1994年:同社管理本部広報室に異動
2002年:同社広報企画部長就任
2005年:同社執行役員、IR室長就任。IR室を一から立ち上げ、投資家からの質問にも答えられるように猛勉強をする
2007年:パソナグループ執行役員、IR室長就任
2009年:同社常務執行役員就任
2010年:同社取締役常務執行役員就任 財務経理部・IR室担当
2017年:同社専務執行役員CFO、財務経理本部長就任
「会計力」を強くするには?
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上場している企業は、ホームページ上でIR情報を公開しています。株主通信は個人の株主さん向けにポイントを絞ってビジュアル化したもの。財務諸表などもすごくサマライズしているはずなので、わかりやすくて勉強になりますよ。自分の会社のものだけでなく、気になる企業やクライアントの株主通信を見てみると、その会社が力を入れている領域もわかります。

構成=福田 彩 撮影=強田美央