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復職を決めるのは、社員か、会社か、医師か

社員としては、いつまでも休職しているわけにはいかないので医師と相談のうえ、軽微な仕事から復職したい。これに対して会社としては、本当に治癒して復職できるのか判然としないから、復職を認めるわけにはいかない。こうしたケースはありがちである。

復職が認められないとすれば、休職期間満了によって社員は退職になってしまう。社員にとっては、社員たる地位を失うことにもなりかねない。これは、「誰が復職を決めるのか」という問題に収斂される。社員なのか、会社なのか、あるいは医師なのか。そこが曖昧になっているから悩むことになる。就業規則で「復職については会社が判断する」としておけば、話はぐっとシンプルになる。

さらには、復職の判断材料とするため、会社の指定した医療機関における診察を求めることができるルールを就業規則に入れているところもある。ただ、就業規則でこういったルールが何も触れられていない企業がまだまだ多い。何も記載がなければ、復職については基本的に社員の意向が尊重されることになるだろう。いきなり解雇したら不当解雇で無効となり、さらに慰謝料の請求も受けることになることが目に見えている。

もし、訴えられたらどうなるか

上司のパワハラでストレス性うつ病が発症した事案では、300万円の慰謝料が認定されたものがある。またパワハラから精神疾患になり1カ月の自宅療養を要した事案では、慰謝料として150万円が認定されている。いずれもパワハラで精神疾病となったときには、通常のパワハラ事案に比較して高額の慰謝料が認定される傾向がある。

このように就業規則でしっかりしたルールを作っておくことは、社員のメンタルヘルス対策において必要なことだ。社員がうつ病になったあとに、あわてて就業規則の内容を変更しても無効となる可能性がある。問題が発生する前に整備しておくことが必要だ。

さらに就業規則は、その内容を社員に周知しておかなければならない。いくら立派な就業規則を作成しても、会社の金庫で保管などしていたら意味がない。就業規則は、社員が内容を認識していなければ意味がないし、裁判でも周知がなかったとして効力が否定されるときもある。これを機会に自社の就業規則を見直してもらいたい。

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