部長昇進で「なぜ私がこんな目にあうのか」と大泣き

「真っ向勝負しかできなかった私を正面から受け止めつつ、ユーモアで軽くかわす斎藤さんのキャパの広さのおかげで、自由に意見を言わせてもらえた」と望月さんは言う。

(上)業務委託の方々とチームでプログラムを管理・運営する仕組みをつくり、事業の拡大を乗り切る(中)他セクションの品質管理も担うチーム長に。当初はマネジメントスキルが稚拙で、チームをまとめられず(下)シナプソロジー(R)の研修

「今は女性活躍とかダイバーシティなどで女性の管理職が増えているけれど、女性はイエスマンではなく、『会社のため』『スタッフのため』と思って率直にものを言う人が多いから、やっぱり周りの男性たちは『面倒くさい』でしょうね(笑)」

部長に昇進するときも望月さんは「面倒くささ」をあらわにした。

ちょうど出張中だった。上司から電話が入って部長の辞令を受けたその瞬間、望月さんは泣きだしてしまった。「なんで私がこんな目にあうんですか」と。上司は思わぬ反応に、「ちょっと、ちょっと、ふつうはこれ喜ぶことでしょ」と戸惑った。

「当時、私はフィットネス関連の海外のカンファレンスでもプレゼンターを務めることも増えていました。とくに水中でのレッスンプログラムには熱心に取り組んでいて、そういう技術の部分をもっと高めていきたいと思っていたのです」

部長になることはスポーツクラブの現場から離れることを意味していた。電話口の上司からは、「うちは全社員が部長に上がるわけではないし、降格する人もいる。その中で、そういうことは言うものじゃないよ」と諭された。

辞めるか、辞めないか。人生の大きな岐路に立った望月さんは、信頼していた役員にも相談した。

その人はテニスコーチから役員まで上がった人で、キャリアをインストラクターから始めた望月さんと経歴が似ていた。きっと自分の気持ちをわかってくれるはずと思った。