怒声とともに、机上のものが吹き飛ぶ
「なんで社長の僕が、課長のキミにそこまで言われなければいけないんだ!」
社長をはじめ、役職者が集まる会議室。怒声とともに机の上にあったものが飛び散った。望月さんが課長で、斎藤敏一会長が社長だったころの話だ。
「正確には覚えていないのですが、私が『社長、それ間違ってます』みたいな言い方をしてしまったんです。周りは凍っていましたね」
斎藤会長は女性の意見を積極的に聞き入れるタイプ。男性社員が保身のため、ついつい上にしか目が付いていない「ヒラメ社員」になりがちだということを熟知していて、直言してくれる女性社員を頼もしく感じていた。
「ある議題について話し合っているときに、スタッフのことを軽く扱われた気がして強く意見したんです。意見する内容が悪かったとは思いませんが、言い方は完全に間違えたと思います」
翌日には「昨日は申し訳ありませんでした」ときちんと謝りに行き、わだかまりも消えた。
思ったことは率直に口に出す望月さんと斎藤会長がぶつかったのは1回だけではなかった。今度は社長室で2人のときだった。やはり望月さんの意見に立腹した斎藤会長が机をバンとたたいて「出ていけ!」と言ったことがある。
「私は間違っていないと思ったから『出ていきません』と抵抗しました」
後日「キミが部屋から出ていかないから僕のほうがいたたまれなくなって出ていきたくなったよ。でも、ここで自分が出ていったら負けだなと思って(笑)」と告白された。部長昇進で「なぜ私がこんな目にあうのか」と大泣き