唯一視線を外していい方向は「斜め上」である理由

視線を外す方向も大事です。上、下、横、斜めという各方向において、視線を外していい方向と外してはいけない方向があります。

合わせていた視線を外していい方向とは、どこでしょうか。それはズバリ、斜め上です。人は何かを考えているときや思い出すときは、たいてい斜め上を見ます。例えば、あなたに質問です。おとといの夜、何を食べましたか? 今、無意識に視線が斜め上にいきませんでしたか? 何かを聞かれたときに「うーん」と考えながら斜め上を向くのは自然な仕草。ですから、視線が斜め上に外れても気にならないのです。

この習性を利用して、相手が言ったことについて「意味がわからない」と思ったら、わざと斜め上を見ると「私は理解できていません、もう少し説明してください」というサインにもなります。斜め上なら、右でも左でもOKです。

一方、外してはいけない方向は、斜め上以外のすべての方向です。まず“上”は、伸びをするときや話を拒否する“お手上げ”のジェスチャーをするとき以外に、それほど見ません。

“下”は△です。外してはいけないというよりも、視線が外れた理由が相手に理解できればOKです。例えば、下に置いている資料が相手に見えていて、そこに視線を落としながら話しているのであれば下に視線を向けるのは問題ありません。しかし、資料が相手から見えない状態で、ちらちらと視線を落とすと自信がなさそうに見えるので気をつけましょう。資料は隠してちらちら見るよりも、堂々と出して見るほうが信頼につながります。

下の方向に視線を外す場合、注意したいのは、パソコンを使う場面。話を聞きながら、パソコンにいったん目を落としてからまた上げる、ということが多々あるでしょう。このとき下からすくって見上げるようにすると、相手を小馬鹿にしたように見えるので気をつけたいところです。

“横”に視線が外れることは、どんな状況でもNGです。目を合わせていて横に目をそらすということは相手の話に関心がないのを伝えることになります。

“斜め下”は、つい見がちな方向。時計やスマートフォンなどを手元に置いて、ちらっと見るということをしていませんか? 視線を外すのは失礼なのでちらっと自然に外したつもりかもしれませんが、それもやはり失礼な行為です。

そもそも視線の外し方でよくないのは、何を見るために外したかがわからないことです。何が気になって視線を外したのだろう、と相手が話に集中できなくなります。それが「時間を気にして時計を見ている」「スマホが鳴ったからメールをチェックしている」などとわかれば不信感は払拭(ふっしょく)されます。資料の例でもお伝えしたように、むしろ見たいものは堂々と出して、視線を落とすほうがおススメです。