利き腕に時計をすると目線が自然になる

ちなみに時計の自然な見方ですが、腕時計のつけ方をあらかじめ工夫しておきましょう。女性は腕時計の文字盤を内側にしている人もいますが、こういう場面での見やすさを考えると、外側につけるのがおススメです。さらに言うと、わざと利き腕にします。たいてい右利きの人は腕時計を左腕につけるものです。しかし左腕だと時間を知りたいときにわざわざ時計を見なければいけません。しかし右腕なら、何かを書いたり、ジェスチャーをしたりと腕を動かしたときにさりげなく見られます。自然に視線が行く方向に、時計を仕掛けておくのです。

誰かを説得したいというときには、やはり目力は重要です。目というのは、人間の視覚情報で最も印象に残ります。プレゼンテーションなど大勢の人前に立つときにはリキッドでアイラインを引き、マスカラもしっかりとつけて、アイメイクを頑張りましょう。視線を外すタイミングさえ注意すれば、エクステも効果的です。色は黒がおススメです。ふだんはおしゃれで青などのカラーにしたり、髪の色に合わせて茶色にしたりしている人も、このときばかりは信頼性の高い黒で勝負してください。

カラフルなアイシャドーは、ノイズになります。アイシャドーは色をのせるのではなく、陰影を与えるものと考えましょう。メイクは女性ならではの武器です。今回お伝えした視線の表現スキルにプラスすると、説得力を増します。ぜひ意識して使い分けましょう。

矢野 香
信頼を勝ち取る「正統派スピーチ」指導の第一人者。長崎大学准教授。NHKキャスター歴17年。大学院で心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究し、博士号取得。政治家、経営者、上級管理職に講演や研修で「信頼を勝ち取るスキル」を伝授。

構成=池田純子 イラスト=米山夏子