目のトラブルの多くは「涙不足」が原因
多くの人は、まばたきを意識することがさほどありません。
でも、人は1日に2万回、まぶたを閉じたり開いたり、つまり「まばたき」をしています。その理由は、とても単純。目は、閉じるたびにダメージから回復するからです。
試しに、上まぶたを完全におろし切って、下まぶたとしっかり1秒、くっつけてみてください。そして、目を開けてみましょう。いかがですか。目がすっきりして、手元、あるいは遠くがくっきり見えてきたのではないでしょうか。
目は、涙によって守られています。目を開けたままでいると乾燥してしまうので、それを防ぐために、私たちはまばたきをするのです。
人の涙は、「油層」「水層」「ムチン層」の3つの層から成り立っています
最も表面を覆う「油層」は、涙が蒸発するのを防ぐ役割があります。この油は「マイボーム腺」という、まぶたの際にある器官から分泌されます。
真ん中は、涙の約98%を占める「水層」。おもに水分ですが、たんぱく質や酸素、脂質なども含まれます。
3つめの「ムチン層」は粘り気のあるムチンからなっていて、涙が流れ落ちないよう、目の表面(角膜)に糊のように粘着しています。
以上、涙の3つの層が何らかの理由で均一でなくなり、目の表面からなめらかさが失われてデコボコになると、光が適正に目に入らず、散乱します。すると、目がかすんだり、見えにくくなったり、まぶしさを感じたりするのです。
まばたきが減っている現代人
想像以上に涙液の分泌が大事なことが、おわかりいただけたかと思います。
この分泌かつ涙液を均一に目の中に広げる方法、それが、まばたきです。
十分に涙を生み、3層の成分をきちんと整えて眼内にゆき渡らせることは、まばたきにしかできないのです。
「人は1日に2万回、まばたきをしている」と先述しましたが、実は、現代人はまばたきの回数が減っています。すると、目は涙が不十分になって乾いてしまい、それによってさまざまな目のトラブルが生じてしまいます。
まばたきの回数が減っている主な原因は、「ストレス」と「スクリーン(デジタル画面)の凝視」。この2つといえるでしょう。
忙しく仕事に追われていたり、人間関係で頭を悩まされたりなど、ストレスがかかって緊張していると、自律神経のうちの交感神経が優位になります。
交感神経が優位になると目が開き、まばたきの回数が不十分になります。さらに、涙の分泌量も減ってしまいます。
また、パソコンやスマホなどの画面を凝視するなど、集中してものを見ていると、おのずとまばたきが減ります。
オフィスで長時間パソコンと向き合っていたり、スマホのゲームに夢中になったりしていると、目がパシパシと乾く感覚を覚えることがありませんか。それが「ドライアイ」です。では、ドライアイについて詳しく説明しましょう。