日本の企業でLGBTや外国人、障がい者が活躍しづらいのはなぜか。いわゆるダイバーシティを推進するにはどのような政策や手立てが必要なのか、企業やNPOなどで働く女性5人が話し合った――。
寺島さん●障がい者スポーツ団体に勤務。年功序列が色濃く、年配の男性がポジションにつく組織体質。
葉山さん●メーカー勤務。新卒を会社の色に染める教育方針のため、外国人人材にはなじみにくいところも。
野原さん●グローバル企業のNYオフィスで採用され、LGBTや外国人の活躍は当たり前の環境で働いてきた。
石田さん●物流業界で通関士として活躍。職場は旧式の価値観が優勢で、ダイバーシティの進み具合は遅い。
谷口さん●IT系企業で新規事業開発を担当。1年前からLGBTの取り組みがスタートし、イベントなども実施。

※即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」の協力で5人の方にお集まりいただきました。

アメリカでは人事に提出するマスターデータに性別欄がない

【野原】私は就職してしばらくアメリカのオフィスにいたんですが、ダイバーシティという点では、やはり日本の数年先を行っています。LGBTについても理解が進んでいて、当事者たちの集まりが会議室で開かれたりしますね。

【葉山】すごいですね。うちは朝礼があるような古き良き日本企業で、社員の中にはLGBTの人もいると聞きましたが、会社としての取り組みは始まっていません。

【寺島】私の職場も体質が古いんですよ。NPO法人ですが、年配の男性職員たちはLGBTの意味すらわかっていないかと(笑)。

【石田】物流関係の仕事をしていますが、うちも同じですね。

【谷口】私の会社はIT系。1年前からダイバーシティ実現の一環でLGBTについての取り組みが始まりました。身近なところでは、男性上司がカミングアウトしましたが、みんな「それも個性のひとつ」という認識で、特別視はしていません。同性の事実婚を認める制度もできましたし。

そういう福利厚生の改善も、当事者がどんどん推し進めていくので、速いんですよ。

【石田】やっぱり当事者が理解を求めるかどうかで、違いますよね。うちは少人数の職場ですが、LGBTの人がいるとしても、隠しているんだろうなと思います。

【野原】その点、アメリカ社会は徹底しています。人事に提出するマスターデータには、男性か女性かを記入するところもない。日本の履歴書では性別を書かされるから、逆に違和感があって(笑)。

【葉山】厚生労働大臣から子育てサポート企業として認められると「くるみんマーク」を広告などに入れられるじゃないですか。LGBTについてもそういった認定制度を作れば、取り組む企業も増えるかもしれませんね。