――林さんは高知の観光特使もされているんですよね?
【林】はい。プライベートでも何度も訪れています。食べ物がとても美味しいし、高知の方って非常に人懐っこくて、優しくて、どこに行っても楽しいですね。高知の女性は「はちきん」と呼ばれていますが、市場で会う女性たちも非常に活動的で熱意もあってステキ!
――林さんは、女性たちの生き方に細かく目が向くのですね。
【林】そうですね。今は、高知出身の宮尾登美子さんの伝記も書かせていただいています。一方、幕末は男の物語だから、どうしても女は脇役になってしまいます。でも、お母さんがどういうしつけをしたかとか、西郷隆盛が愛人のおトラさんの働く姿に魅了された様子とか、そういうところを大事に書きましたね。私が今持っている力のありったけで書いた作品です。
――最後に、読者の働く女性にメッセージをお願いいたします。
【林】読者の働く女性たちならわかると思うんですが、仕事で得られる充足感というのは、すごく高いものがありますよね。やっぱりこれを一回知ったら手放すのは嫌だと思うし、何とかこれをもっと充実させていただきたいなと思います。それができるよう、30代、40代で基礎をつくっていくといいですね。
「曜日別に市内のあちこちで開かれる朝市は、地元ならではの新鮮な食材が豊富で、ついいっぱい買って東京に持って帰りたくなるんです」
(中)女性でも楽しめる芸者遊び
「高知に残る芸者さんは2人だけですが、高知を盛り上げようという気持ちがあっておもてなしが素晴らしいんです。女性でも気軽に芸者遊びが体験できますよ」
(右)お城が目の前の高知城歴史博物館
「新発見の龍馬の手紙など、価値ある資料が残っていて感動しました」。ここも会場の1つとなり高知県内24の歴史文化施設などで「志国高知 幕末維新博」が2019年3月末まで開催。
作家・エッセイスト
1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後コピーライターに。82年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』で注目を集め、84年より執筆業に専念。直木賞、柴田錬三郎賞など受賞多数。大河ドラマの原作『西郷どん!』(KADOKAWA)発売中。
構成・文=岩辺みどり 撮影=工藤朋子