崩れた心身のバランスをヨガに出合い取り戻す

DVDのポーズを見よう見まねでするだけだったが、ヨガを日課にしてから、体調が少しずつよくなり、その魅力にはまっていった。そんなマサヨさんの気持ちに大きな変化が訪れたのは不妊治療10年目、44歳のときだ。

「自分との子どもが欲しいのか、ただ子どもが欲しいだけなのか」と夫に詰め寄られたこともあるが、今はお互い良き理解者。愛犬2匹と仲良く暮らしている。※写真はイメージです

「子どものいない人生、というものを受け入れられるようになっていたんです。諦めとは少し違うのですが、心が穏やかになり、妊娠にとらわれる前の自分に戻れたような……。まさに“生き返った”という言葉がぴったりの心境でした」

ヨガに真剣に取り組み、ヨガインストラクターの資格を取得。体はもちろん、精神的な安定を取り戻していくに従って、自信がみなぎっていった。そして、「子どものいない人生でも幸せになろうね」と、ようやく夫の前で口に出して言えるようになった。

「できることは全部やった、という思いと、妊娠のことだけを考えていた10年から解き放たれて、気持ちがとても楽になりました。体を冷やすからと禁じていたアイスクリームも、今は堂々と食べています(笑)」

そう話すマサヨさんの表情は溌剌(はつらつ)としていて、言葉にもよどみがない。「それに、新しくやりたいことができました。昨年、Fineという不妊体験者をサポートするNPO法人に参加したのですが、そこで不妊ピア・カウンセラーという資格があるのを知って、今、取得に向けて勉強しています。これなら自分の不妊治療の経験を生かせると思いました。今後は、カウンセリングとヨガを合体させた妊活向けのヨガ教室を開いて、不妊で悩んでいる女性の役に立てたら……」