Case 2:相手のニーズを引き出す傾聴する力
▼情報を与えることで本音を語りたい状況をつくる
「営業の仕事の半分は、お客さまの悩みや課題の共有が占めています」と山本さん。悩みや課題を解決するために、本当に必要なものは何なのか? それを一緒に考えていくため、営業にとって欠かせないのは、相手のニーズを引き出す傾聴力だ。
3人に共通しているのは、情報を「もらう」だけではなく、進んで情報を「提供」していくという姿勢。
「ご自分のニーズに気づいていないお客さまが結構いらっしゃるんです」と言うのは樋口さん。金融商品の営業にとって、お客さまのライフイベントや家族構成の変化はキャッチしておきたい大事な要素。「例えば20代、30代の方だと、『これから結婚、出産などでお金がかかってきますよね』というふうに、まずはキーワードを投げかけ、これから実現したいことや心配に思っていることなど、お客さまの中のニーズに気づいてもらいます」
同じく、山本由さんも自分から質問を投げかけるタイプだという。「相手のビジネスのスキームを勉強させていただく気持ちで、どういう収支構造になっているのかなど、イメージを一緒につかめるようにいろいろとお聞きします。同時に、情報を聞くばかりでなく、先方にも社内の意見をまとめ上げるために必要な材料をお渡しするよう心がけています。三井不動産や施設の実績など、出店した先に開ける未来図を示して、期待感を持てるようなお話をします」
所さんもまた、「相手から聞き取る前に情報を提供することを心がけている」という。「ただ単純に『ご予算はありますか?』ではなく、『◯◯万円の商品なら、こういう効果があって、もう少し上の価格帯だとこうなります』と具体的な情報を提供することで、相手の予算や導入時期を引き出しやすくなります」
「丁寧に聞くスキルは営業の絶対条件」と山本さん。「黙っているだけでなく、相づちにバリエーションを持たせて聞いている姿勢を示すことで、さらに安心感を持ってもらえる。短い時間でも多くの話を引き出すことが可能になります」