Case 1:初対面で信頼を獲得する
▼営業色は封印!お客さま目線で緊張を解きほぐす
新規開拓の場合、第一印象がその後の顧客との関係を大きく左右する。「お客さまは初対面の営業がやって来たとき、必要ないものを売りつけられたくないので、すごく警戒しています」と山本幸美さん(以下、山本さん)は忠告する。その警戒心を解くために、「“まず自分はこういう人間です”ということを伝えます」と言うのは野村證券の樋口さんだ。「こちらが心を開かないと、先方が先に開いてくれることはありません。私は野村證券に入った経緯や、お客さまからより多くのことを学びたいと思って訪問したことなどをお話ししています」
三井不動産の山本由佳子さん(以下、山本由さん)も、まず自社を知ってもらうことからスタートする。初対面の相手方には、「三井不動産」といえばオフィスビルというイメージを持たれていることが多いという。「ららぽーとからアウトレット、東京ミッドタウンまで、実は30年以上にわたり商業施設の分野で実績があるということを積極的にお話ししていますね」
特徴が異なるのは、電話営業のプロであるWEICの所剛さん。「まず、スパッとこちらがお電話した理由を伝えます。相手の顔が見えない分、『あのー』『そのー』などダラダラとしゃべらず、とにかく言葉づかいは丁寧に、良い印象を与える話し方を心がけます」
3人に共通しているのは、営業色を出しすぎないこと。「相手の目線で、『お客さまのため』という気持ちでどんなメリットがあるのか具体的にお話ししています」(所さん)
「営業トークはアポをとるときの『お目にかかれることを心より楽しみにしております』からすでに始まっています。商談の際には、『◯◯さまとお約束ができてから、ずっと楽しみにしていました。お会いできてうれしいです』から始めると、『この前、電話で楽しみだと言ってくれたのはウソじゃなかったんだな』と感じてもらえ、緊張も解きほぐれる。相手への興味を表すことのできる人が、商談も人間関係も制します」(山本さん)