「肩のすくめ方が左右非対称」なら嘘つき

「仕事ができる人ほど、人の心をすばやく読み取ることを体得していて、しかも彼らのほとんどが、それを無意識のうちに学んでいます」とシェーファー博士は言う。自身は研究論文を読み漁って練習を繰り返し、FBIで何千もの聞き取り調査を担当する中で、このテクニックを編み出した。それを一般向けにわかりやすく分類したものを学べば、たとえ社会経験が少ない人でも短期間に人の心を見抜くことができるようになるというから朗報だ。

たとえば、あなたには部下がいて、ある重要なプロジェクトが進行中だとしよう。その進捗について部下から「問題はありません。すべて順調です」と報告されると、上司としては、本当に大丈夫なのだろうかとつい疑念を抱いてしまう。

「しかし、それが真実かどうかを直接的に問いただしてしまうと、ふたりのあいだの信頼関係が傷つき、最悪の場合は仕事に支障をきたします。ところが、相手を怖がらせないテクニックを使えば、部下に恥ずかしい思いをさせずにプロジェクトの進捗を確かめることができるのです」とシェーファー博士は言う。これを可能にする基本的なテクニックは10と11なのだが、ほかにもある。

【上司・部下編2】「大丈夫です」は本当に大丈夫か?

▼OK!

6. 手のひらが上向きのジェスチャー
手のひらが上を向いているジェスチャーは、その人のオープンな気持ちを物語っている。誠実な人であれば、真実を口にしているときにこのジェスチャーを見せることが多い。胸に手をあてて話すという動作が加われば、部下の話の真実度はアップする。なお、このジェスチャーは、両肩をすくめる動作と連動している場合が多い。
7. 話の中身と同じ向きに首を振る
首を振る向きは発言の方向性と一致していなければならない。たとえば「はい、あの店に行きました」と言いながら首を横に振っていたら、それは否定を暗示する動作なので嘘をついている可能性が高い。その店に行ったことが事実であれば、首を縦に振るはずなのだ。部下の言葉と動作が一致しないときには、話の中身を疑おう。

▼NG!

8. 頭を後ろへ引く
不誠実な人は、自分に不安を与える人から距離を置こうとする傾向があるので、質問に対して正直に答えられないときは1、2秒間頭を後ろへ引くことが多い。これは嘘をつく人が最初に示す無意識の反応で、数秒後にはもとの姿勢に戻る。この反応が見られたら、部下は事実を報告していない可能性がある。
9. 肩のすくめ方が左右非対称
両肩が均等に少し上がる動作は、その人が真実を語っていることを示す信頼度の高いシグナルだ。肩をすくめる動作は特殊内臓求心性線維(SVA)という脳神経が部分的に支配しているため、自分で動きをコントロールするのは難しい。嘘つきは誠実を装ってわざとこのしぐさをするので、大抵は左右の肩が非対称になる。
10. 「ええ、あの~」で答え始める
「はい」か「いいえ」で答えられる直接的な問いかけに対して、部下が「ええ、あの~」とか「まあ、その~」などの言葉で話し始めたら、その部下はほんとうのことを言わない可能性が高い。あなたが「はい」という答えを期待していることがわかっているので、正直に「いいえ」と言えず、こうした言葉で応じてしまうのだ。
11. 「現在」についての明言を避ける
直接的な問いかけに対して部下が「はい」か「いいえ」で応じなかったら、少し表現を変えて同じ質問を繰り返してみよう。「はい」または「いいえ」を回避した人が、さらに現在への言及を避けた場合、その報告には本人の希望的観測や言い訳が混入しているので、100%事実ではないという可能性がかなり高くなる。