理解違いが起こりやすい“ぼかし言葉”に注意
とは言え、言語表現には理解違いが起こりやすいので気をつけたいところ。特に部下と話すときに、注意したいワードがあります。それは、「わかりました」「大丈夫」「微妙」の3つ。
たとえば部下が提出した書類を見て、あなたが「これはおかしいんじゃない?」と間違いを指摘したとしましょう。それに対して部下が「わかりました」と答えました。そのため、あなたは部下が書類の間違いを直したと思っていたのに、実際は直していない。なぜ? 「おかしいんじゃない?」「わかりました」ですから、部下は理解したと返事しただけで直していないわけですね。
「わかりました」は、上の立場の人とも理解違いが生じやすい言葉です。「こういうことが問題になっているので、改善してください」と部長に訴えたとします。そうすると「わかったよ」。この場合も部長は「わかった」と言っただけで「改善する」とは言っていない。こういう場合はイエスかノーで答える“クローズドクエスチョン”で、どんどん攻めていかなければいけません。「では部長から提案していただけるのでしょうか?」「私たちが提案してもよろしいですか?」あるいは「次の会議であげてもよろしいでしょうか?」など、どんどん具体的に詰めていく必要があるのです。
「大丈夫」も、こうした“ぼかし言葉”の代表的なひとつです。ある管理職の女性に聞いた話です。部下に「提案書の締め切りは○日だけど、どうなっている?」と聞いたら、「大丈夫です」と言いました。「締め切りに間に合うのだ」と思って放っておいたら、締め切りが過ぎても提出してこなかったそうです。なぜ? どうやらその「大丈夫」は「聞こえていますから言わないでください」という意味だったようです。
「微妙」も扱いが難しい言葉です。表記上は「ビミョー」がより感覚的には近いかもしれませんね。「最近、頑張っている?」「ビミョーです」もしくは「どこか具合が悪いの?」「ビミョーです」など、上司が部下に声をかけたときに答える、部下にとっての「ビミョー」という言葉は、いいことにも悪いことにも使われています。
ですから部下が「ビミョーです」と言った場合、「ビミョーって、どのあたりが?」「ビミョーっていい意味? 悪い意味?」と、質問を重ねていくことが必要です。そうすることで、その「ビミョー」の真意を知ることができます。そうすればコミュニケーションのすれ違いや間違いがなくなり、先に進めるのです。