▼フリー編集者・ライター 大塚玲子さんから
提言:PTAは任意参加だということを国がはっきりと示すべきです

子育て世帯においても共働きが主流となり、ここ数年で保護者の意識が急速に変わってきました。そんな中、PTAのあり方は昔と変わらず、働く母親たちの負担感を強めています。

例えば活動時間。専業主婦が比較的多い都市部では、いまだに平日日中の活動が多く、お勤めの母親たちを悩ませています。非効率な活動が多いのも辛いところです。かつて性別役割分業がスタンダードだった時代は、PTAが家に残された妻たちの交流の場となっていましたが、いまはそんな場を求める人は少なくなりました。母親たちも父親と同様に仕事上の人間関係を持つようになりましたし、連絡手段も豊富にあります。みんなLINEやメールで気軽に連絡を取り合っており、わざわざ集まる必要性を感じていません。

最大の問題は、活動を強制しがちな点です。もしやりたい人だけがやる形なら、平日の日中や非効率な活動でも問題ないのです。それを「6年の間に全員必ず1度は役員をやる」「この日は必ず学校に集まる」などと強制するから、みんな困ってしまうのです。

なぜそうなるのか? 原因はいくつか考えられます。(1)多くのPTAはそもそも加入を強制していること、(2)学校や教育委員会から協力を頼まれると、PTA役員である保護者も学校に子どもを預ける立場なので断れず、他の保護者に参加を強いがちなこと、(3)母親の間で参加強制圧力が働くこと、など。

教育委員会や文部科学省は、「PTAは保護者の私的な活動だから指導はできない」と言います。確かにそういう面もありますが、歴史的な背景を見れば、文科省の意図でいまのPTAの形が導かれたことは事実です。

PTAが任意で加入&活動する団体であることを、国からもはっきりと示す必要があります。

撮影=市来朋久