安倍総理は、少子化対策のためにも長時間労働を是正しようと、労働基準法の改正も含めて検討していますが、働く女性たちはこの方向性についてどう考えているのでしょうか。6人の方々と議論しました。
清水さん/外資系メーカーで人事を担当。長時間労働できる人がエライとされる日本企業から転職し、正反対の文化に触れている。
山本さん/人材業界の広報部門にて活躍中。若い頃にたくさん働くことは、仕事の質を上げるために必要と考えている。
白石さん/繊維を扱う商社に勤務。残業の多い業界で20年近く働き、必要な残業と無駄な残業があることを実感している。
富山さん/IT系企業の人事部にて勤務。2人の子どもを育てながらキャリアを築いてきた。政府の対処療法的な政策に憤りを感じる。
田坂さん/ウェブ業界にて活躍。2度の転職を経て現在3社目。企業によって労働時間の管理が大きくちがうことを実感中。
竹中さん/IT系企業勤務。勤務先では労働時間が管理され、部下の労働時間が長いことは管理職の評価ダウンにつながる。
※「エン・ジャパン」の協力を得て6人の方にご参加いただきました。
取り締まり強化だけでは企業が抜け道を探すだけで終わります
【白石】一口に長時間労働といっても、2通りあると思います。一つは、お付き合いで長時間労働をしているパターン。これは体力がある大企業に多い。一方は、本当に長時間労働が必要で、やらざるをえないパターン。こちらは中小企業に多い。この2つに対する施策は、異なると思う。
【富山】事業の拡大時など、本当に本人たちも自ら進んで長時間労働をしているときもありますよね。それでも長時間労働にメスを入れるのなら、社員に残業させない企業の法人税を減らすくらいの施策をしないと、サービス残業が増えるだけだと思います。
【田坂】同感です。減税くらいしないと、人事がまた、社員に残業させてもOKな抜け道を探せと言われるだけですよ。残業が月80時間超えている人に、「エッ、でもこれ休憩時間が入ってない?」と詰め寄るとかね(笑)。
【山本】そもそも私は、長時間労働は悪だと言いきれないと思う。もちろん、遅くまで残っていないといけない雰囲気がある会社は悪だと思います。でも、これからスキルを身につけなくてはいけない20代のときくらいしっかり働かないと、その後の30代、40代をどうするのと思ってしまいます。ですから、今の私の会社のように、午後9時には強制消灯してしまうのは、いかがなものかと。
【白石】確かに、今の若者は入社してすぐ、残業は悪という考え方のもと働きますが、長期的な成長を考えるとそれでいいのかなという気はしますね。その人の職種やステージによって、長時間労働対策も変えるべきではないかと。
【清水】頑張りたいときには、頑張れる自由があっていいと思います。毎日定時で帰れる会社がすばらしいみたいな風潮になったら、日本じゃない(笑)。