言い訳をせず、100%謝ることに徹しましょう

僕が請け負うわび状は、企業が大失態をしたときのような厳しいものがほとんどで、短文のわび状の経験はないのですが、いずれの場合も鉄則は、おわびに始まり、おわびに終わることだと思います。

杉本さんの文章は全体的には悪くなかったのですが、どちらも挨拶から始まっていた点が気になりました。自分が相手の立場になったときに、こうした手紙が来たらどう感じるでしょうか。何も思わない人もいるかもしれませんが、なかには、「お申し込みのお礼をしている場合じゃないでしょ」と思う人もいるかもしれないですよね。ここは、謝罪から始めましょう。

避けたほうがいいのは、言い訳と、相手のせいにすることです。謝罪文にあった「何度かお電話をさせて頂きましたが、タイミングが合わず」という部分は嫌みにもとれるので、省いたほうがよいのでは。

忙しい相手には時間を奪ったことへの謝罪もさりげなく伝えましょう。

中島泰成
代筆屋、行政書士。小説『代筆屋』(辻仁成著)をきっかけに代筆業をはじめ、テレビ、新聞などで紹介。「告白」「復縁」「お礼」「謝罪」「遺言書」など、あらゆる分野の相談を受ける。著書に『プロの代筆屋による心を動かす魔法の文章術』。

塩月由香=構成