まだ「主夫」や「イクメン」という言葉がなかった頃、大黒柱妻になり、主夫になるという決断をした2人の17年間。
(左)桜沢エリカさん(右)青木武紀さん

桜沢エリカ●1963年、東京都出身。19歳でデビューして以来、コミック誌やファッション誌など多方面で活躍。女性の心情をリアルに描写した漫画やイラストを多く手掛けるほか、そのファッションセンスも注目を集める。91~93年の「メイキン・ハッピィ」で人気が不動に。自身の子育てについては「今日もお天気」シリーズに詳しい。
青木武紀●1968年、長野県出身。東京・西麻布のクラブ店長兼DJを経て結婚。長男の妊娠がわかったときに専業主夫となる。家事と1男1女の育児に加え、桜沢さんのアシスタントの食事も担当。著書に『青木パパの育児伝説』。


――桜沢さんご夫妻といえば、妊娠をきっかけに、当時まだ交際相手でクラブの店長兼DJだった青木さんに「家に入って」と桜沢さんが頼んだエピソードで有名です。当時のことを詳しく教えてください。

【桜沢】あれ、いつだったっけ。

【青木】(1999年の)夏だったよ。

【桜沢】春じゃない?

【青木】夏だよ。フジロック(フェスティバル)に俺が行く前だったもん。

【桜沢】ええと、夏だったかな。確かあの頃体調も変で、占い師にも「おなかの中に何かいる」って指摘されたんで妊娠判定薬を試してわかったんだよね。それですぐ、夜のまだ忙しくない時間帯に店に電話して伝えたんだよね。

【青木】「おめでとう、パパ」ってね。

――主夫依頼は、その電話口で?

【桜沢】どうだったっけ。

【青木】確か、仕事を終えて家に帰ってからだったよ。

【桜沢】タイミングもあったよね。妊娠がわかったときは、ちょうど彼の仕事が節目の時で会社を辞めようか迷っていたから「それなら辞めて家事をしたらいいじゃない」って。「辞めたらいいよ。それで子育てして」って言った気がします。