【羽田】インカムゲインということで言うと、たとえば6000万円の貯蓄があり、5%で運用できれば、年300万円の不労所得を得られますよね。このシステムがあれば心の余裕になるだろうなと考えることがあるんです。

【山崎】昔の金利生活者みたいなものですね。気持ちはわかります。でも年金基金や大きな機関投資家が株式に対して設定している利回りが5%前後です。株式100%で運用してそれという想定ですから、個人での5%運用は厳しいでしょうね。むしろ若い人であれば、手取り所得の、たとえば3割を貯蓄やインフレに負けない程度の運用にまわすことを考えたほうが安心です。

【羽田】そうなると、お金をたくさん殖やすことを考える時間を捻出するよりも本業にいそしみ、その一方で普通預金に比べてマシな利回り2.3%程度のシステムを考えたくなります。

【山崎】それは結構、危険思想かもしれませんよ。金融商品のセールスマンにだまされやすいゾーンがそこにあるんです。たとえば社債のような金融商品があって「2%のほぼ確定利回りで運用できます」と売り込まれたとします。2.3%であれば、あまり欲をかいているつもりにもなりませんから、大丈夫だろうと思うじゃないですか。しかし先般、レセプト債を発行していたファンドが破たんした事案では、「国」「病院」といったキーワードをちらつかせ、「安全性の高い商品」として年利3%の触れ込みで売られていました。それでだまされた人がいたわけです。

【羽田】心のすきを突かれた形ですね。

【山崎】今は10年債でもゼロ金利の時代です。冷静に考えれば、1.2%でも利回りが乗るなら金融機関が自分で利用するはず。それをほかの人に提供するということは、何かしらのリスクというか難点があって当然なのです。