手すりの設置や段差の解消、便器の取り替えなど、1回限り、20万円を限度に住宅改修として介護保険から給付が受けられます。「どこに手すりを付けると安全か、危険な個所はないかなど、介護に詳しい業者をケアマネから紹介してもらったので助かった」と、友紀さん。自己負担は1割です(収入によっては2割)。

通院が大変だからとあきらめていた歯の治療も、介護保険で訪問歯科を利用できることがわかり、自宅で受けたそうです(肺炎予防などにも有効)。

訪問看護、訪問介護、生活援助、通所介護、通院等乗降介助、福祉用具貸与、購入、住宅改修など、介護保険にはさまざまなメニューがあります。特別養護老人ホームなどの施設への入居という道もあります。

制限もあり、介護保険だけで完全とはいきませんが、大きな助けになることは間違いありませんし、ケアマネなど、知識や経験が豊富な人に介在してもらうことで知識や安心感も得られます。「友人や仕事関係の知人に父について話したら、親が介護状態にある人は意外と多いことがわかったの。色々と教えてもらえたし、気分的にも救われた」と友紀さん。どんどん頼る、SOSを出す、ということが大切かもしれません。

いざという時に慌てないよう、頭の片隅に置いてください。

フリーライター 高橋晴美(たかはし・はるみ)
1989年よりライターとして活動。資産形成、投資信託、住宅ローン、保険、経済学などが主な執筆テーマ。