実は友紀さんは、父親の入院直後から介護保険の申請を検討していました。とはいえ、なかなかの難問。「手術して、リハビリして、これから元気になろうとしているのに、介護保険の認定受けようと言ったらどう思うかな……」と父親の気持ちを案じたからです。

案の定、父親は浮かない顔。機嫌のいいときを見計らっても同じ反応でした。

そうこうするうちに退院が決まり、大慌てとなったのです。

友紀さんは看護師さんの勧めで、病院のソーシャルワーカーに相談しました。ある程度の規模の病院にはソーシャルワーカーがいて、治療費のことから精神的なケア、退院後の生活などについて相談にのってくれます。

事情を話すと、「すぐに介護保険を申請すること。その際、すぐに福祉用具が必要だと話すこと」とアドバイスしてくれました。

状況によっては、さかのぼって介護保険が適用され、購入費やレンタル料が自己負担1割で済むケースもあるそう。業者によっては、一定期間、無料で試用できる例もあるようです。

すぐに市役所の中にある地域包括センターへ問合せ。さかのぼって適用されるには細かいルールがあることがわかりましたが、退院は待ったなし。10割負担になることを覚悟し、取り急ぎ、最低限必要なものを揃えること、また父親を説得して介護認定を受けることを決めました。

ソーシャルワーカーから、「退院するために必要な手続き、という位置づけで話せば本人の理解も得やすい」という助言もあり、渋々ではあったものの、なんとか父親を説得できたそうです。