精神的シェアができる環境が女性の起業には必要

「チームで足りない部分を補い合えば事業の可能性は広がります。女性の起業にはワークシェアではない、精神的シェアができる環境が必要です」

役割の多い女性だからこそ、お互いさまの精神で補い合う組織づくりが可能。これは男性にはできない、女性ならではの発想。「ひとりだけで事業を続けていると、いつか破滅してしまう」と経験から語る。では女性の起業において破滅しないコツとはなにか。

「長期の視点を持つ。絶対評価を大切にする。どんなときでも常にニュートラルでいること。この3つが大切」

●破滅を招かない3つのオ・キ・テ
1.長期の視点を持つ
現在直面する問題も、長い目で見れば心に余裕が持てる解決方法が見つかる。
2.相対評価を意識しない
他人を意識してばかりいると、自分の信念や目標が揺らぐ。絶対評価を意識。
3.常に気持ちをニュートラルに
振り幅が大きいほど、その反動も大きい。どんなときもニュートラルで冷静に。

結婚・出産・育児なども、50歳、60歳の長期の時間軸で見れば、今直面している数年間の問題と考えられ、判断に余裕が持てる。また、他人がどう思うかに重きをおく「相対評価」では信念がぶれる。さらに事業には常に波があり、波に乗って事業が急激に伸びたときも、逆に荒波にのみ込まれそうになったときでも冷静な判断が必要。「絶対評価」で、5年後、10年後に目標を定め、時代の波の振り幅に翻弄(ほんろう)されないよう常に気持ちをニュートラルに保っておくと、自分自身納得ができて心地よく、事業もやりやすくなるという。

「私同様、一度“えらい目”に遭った人は腹が据わり、事業の冷静な判断が可能になります。失敗も経験。次のステップへの大切な足掛かりです」

最初から最後までうまくいく起業はほんのひと握り。多くの先輩起業家の経験を参考に、自分スタイルでの起業をめざしてみよう。

菊川朱美
株式会社アイエスおよびバックオフィスサービス株式会社の代表取締役であり、女性の事業育成をサポートする女性起業家ネットワーク、一般社団法人NeoWoman代表理事を務める。