入社3年目の恥ずかしい失敗
尾田さんは1973年に釧路の高校を卒業し、地元の釧路支社に入る。同期には同じ高卒の女性が7人。
「終業後や土日によく遊んで、楽しい時代でした。仕事を覚えるのはしんどかったですけどね」
入社したてのころは女性の先輩が電話の掛け方や社内文書の書き方など、仕事の細かいところまで丁寧に指導してくれた。一方で男性の上司は、仕事の相談に行くと、必ず「あなたはどう思うの?」と問い返す人だった。だから相談に行く前に自分で調べ、自分で考える癖がついた。
当時は、今と違って女性は結婚したら仕事を辞めるのが一般的。3年近くして気づいてみれば、22歳にして女性社員の中で一番年上になっていた。そんなころ、「恥ずかしくて、あのころに戻りたくない」という失敗をおかす。
「釧路支社は担当エリアが広大で、四国の1.4倍くらいあります。泊まりがけのこともあって、若い子なりのおしゃれをして出かけました。でも、その格好がかなりチャラチャラしていたんです。会社を代表して行っているのに」
企業を訪問し、話す相手は社長の奥さんが多かった。
「ご自分の娘さんくらいの年齢の私を大目に見てくれたんでしょうね。高校を出ての22歳ですから、まだ世間知らず。そういうことを教えてくれる先輩がいたらよかったなと思います」
後に、尾田さんは後輩には自分と同じ恥ずかしい思いをさせたくないと、内勤者向けに服装などのマナー研修を実施している。