日本史【中級編】
-歴史が急に身近に感じられる
『日本史へのいざない 考えながら学ぼう 全2巻』松本一夫(岩田書院)
「足利氏が幕府を開けたのはなぜか?」など、各テーマの問いに対して、史料や文献などを提示しながら解説。異なる史料解釈をすれば異なる歴史が描けるという、日本史の学びの面白さを体感できる一風変わった問題集。
『京女 そのなりわいの歴史』高取正男(中公新書)
各時代に京の都で活躍したビジネスウーマンの歴史の本。汗水垂らしながら家事と仕事の両立に励む京女の姿に、思わず自分を重ねてしまう。京都旅行に出る前に読んでおくと、いつもと一味違う旅が楽しめそう。
『日本史の森をゆく 史料が語るとっておきの42話』東京大学史料編纂所(中公新書)
古代から明治維新にいたるまでの膨大な史料を編さんする国内最高峰の研究機関に属する史料読みのプロたちが、興味関心に沿って書いた一冊。いろいろな角度から日本史の世界の奥深い魅力に触れることができる。
日本史【上級編】
-自分なりの“好き”を見つけたら
『日本史リブレット』シリーズ(山川出版社)
「日本史リブレット」は政治史や制度史、文化史、経済史など、さまざまな興味関心に対応できるシリーズ。人にフォーカスした「日本史リブレット 人」も。女性の生き方を学べる『足利義政と日野富子』はおすすめ。
『藤原道長「御堂関白記」を読む』倉本一宏(講談社選書メチエ)
初級編でおすすめした道長をさらに知りたいなら。道長の日記「御堂関白記」から抜粋し、自筆の日記の写真や現代語訳、解説がついている。歴史がどういう素材に基づいて語られるのかが実感としてわかる一冊。
『文化財学の構想』三輪嘉六(勉誠出版)
過去から伝わる文書や絵画、彫刻、建築などの文化財をどう取り扱うか。文化財の保存や継承のこれからの可能性を示したスーパー上級本。これを読めば、文化財の被害に関するニュースのとらえ方も変わるはず。
著作家。元代々木ゼミナール世界史講師。慶應義塾大学経済学部卒業。最新著書は『日本の今の問題は、すでに{世界史}が解決している。』(学研)。個人投資家としての顔も。
東京女学館大学国際教養学部専任講師。慶應義塾大学文学部卒業。日本女子大学大学院文学研究科博士課程後期修了、博士(文学)。研究テーマは日本中世史・仏教文化史。
構成=池田純子 撮影=水野真澄、田中真光