「日本史」の奥深さに触れる
-日本史を学ぶことは文化を守っていくこと

なぜ、私たちは日本史を学ぶのでしょうか。いま、日本には古文書や古記録など、いわゆる“史料”といわれるものが数多く残っていますが、こうした文化の継承というのは物事を大切にする心や、人と人とのつながりがあってはじめて成り立つものです。史料を読みながら、そういう心のあり方に触れることで日本の素晴らしい文化を守っていける人間になれる、日本史を学ぶ意義は、そこにあるのではないでしょうか。ビジネスも、また人と人とのつながりから生み出されるもの。日本史は教養として、ビジネスの土台になるのではないかと思います。

日本史の本を選ぶときは、時代はもちろん、人や戦など出来事に注目する方法があります。新書は一般の人向けに書かれたものが多いですから、まずは新書コーナーに行ってみるのもおすすめ。本を読みつつ、博物館に足を運び実際に史料に触れることも大切です。

学ぶということは大きな労力やエネルギーを必要とします。でもエネルギーを注いだら、それ以上のエネルギーがかえってくるのもまた事実。私も新しいことを発見した日は心がピョンピョンと跳びはねるような喜びに満たされます。ぜひ読者の皆さんといっしょに学ぶ楽しみを味わっていけたらなと思っています。

日本史【初級編】
-何から読めばいいかわからない人へ

【左から】『Story 日本の歴史』シリーズ日本史教育研究会(山川出版社)/『藤原道長の日常生活』倉本一宏(講談社現代新書)/『仏像に会いに行こう 美術の見かた・感じかた』副島弘道(東京美術)

『Story 日本の歴史』シリーズ日本史教育研究会(山川出版社)
時系列に歴史を辿りながら、各時代の重要なトピックをとりあげて解説した3冊シリーズ。気になるトピックだけを気軽にチョイスして楽しめるので、時間のないビジネスウーマンにぴったり。ルビ満載でわかりやすい。

『藤原道長の日常生活』倉本一宏(講談社現代新書)
「この世をば~」、いわゆる望月の歌を詠んだ道長の日常生活を探った本。貴族社会で権力の絶頂に上り詰めた道長が、実は病気で悩むなど人間らしい一面が垣間見られる。“人”から歴史に入りたい人におすすめ。

『仏像に会いに行こう 美術の見かた・感じかた』副島弘道(東京美術)
日本彫刻史専門の著者が、おなじみの作品を例に仏像の面白さを解説。仏像のスタイルやファッションとともに歴史的背景も考えてみては? 歴史嫌いな方も、仏像を通じて日本史の扉を開けてみたら意外と楽しめるかも。