あなたの「仕事の原点」は何ですか? 就活の時の自己分析という人もいるかもしれません。仕事を始めた頃の気持ちを今も持ち続けているとしたら、それは本当に良いことなのか。また、言うことがすぐ変わる「朝令暮改」上司は果たしてダメ人間なのでしょうか?

「私にも、そんな風に考えた時代がありました……」

いわゆる“若気の至り”と表現するのがぴったりな行動を後輩がとり、その意図を説明された時に、先輩としてふと口走ってしまう、ちょっと劇画チックなセリフ。いろいろな意図を含みつつ、相手を少しだけ牽制するにはとても便利なフレーズです。ついつい使ってしまうという人も多いのでは。

他人の行動を見ることで、過去の自分を客観視して「ああ、アレは違うな」と思う瞬間が頻繁にあればいいのですが、そう世の中は都合よくできていません。過去の自分の、ある意味恥ずかしい歴史は、自分自身で積極的に振り返らなければ、掘り起こす機会はない、そう、目にすることはめったにないのです。しかし、それが仇(あだ)になることもある……というのが今日のお話。

「かつての自分」に縛られていませんか

キャリアの曲がり角を迎えるタイミングになってもまだ、「仕事を始めた頃の初々しい想いを胸に抱いて頑張っている」という人を見かけます。それが別に悪いという話ではありません。「初志貫徹」という言葉があるくらいですし、むしろかつては推奨されるべき考え方でした。

しかし、思い出してみてください。皆さんが働き始めた頃、今のような仕事をしていると想像できたでしょうか? 目の前に押し寄せてくる情報の量は半端なく増え、同時に仕事もとても高度化しています。求められる判断の機会は膨大で、日々のストレスも尋常ではありません。設定条件が違っている中で、それでも同じような気持ちで働けといっても、それは無理な相談です。

かつての自分を否定する必要はありません。でも、それに縛られることなく、一度リセットして、次の自分の働き方を考える時期に来ているのでは……? そういう視点を持ってみると、楽になることも多いものです。「それはある意味、自らの失敗を認めることでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし積極的に今までの自分をアップデートする姿勢を持たなければ、日々の成長が難しいことは、それこそ周囲の人たちを見ていると一目瞭然のはずです。