お菓子は薄利多売のビジネスモデル
モロゾフは1931年に創業された老舗の洋菓子メーカー。プリンやチーズケーキなどの販売店としても有名ですが、元々はロシア人一家が神戸で経営していたチョコレート店であり、創業者のフェードル・モロゾフは、日本に初めて高級チョコレートを紹介した人物と言われています。後にモロゾフ一家は経営陣と対立し、新たにコスモポリタン製菓を設立することとなりますが、モロゾフは今もチョコレートの品ぞろえが豊富な洋菓子メーカーとして続いています。
そんなモロゾフの2015年1月期の有価証券報告書を見てみると、売上高は277億円、当期純利益は4億円です。売上の規模はそれなりに大きいのですが、当期純利益率は1.5%しかありません。2014年に経済産業省が発表した全国における当期純利益率の平均は2.9%ですので、利益率は低めと言えます。
有価証券報告書の【主要な経営指標等の推移】で過去5期分の業績推移を見ても売上高は260億~270億円台の間で安定している一方、当期純利益率はほぼ1%台で推移していることが分かります。
お手頃な価格帯の商品が多いということもあり、モロゾフの洋菓子の原価率は約54%です。そして人件費や設備関連費、荷造運賃、広告宣伝費といった販売管理費は売上の44%程度に上り、近年は営業利益率2%台が続いています。そこから法人税などを加味すると当期純利益率は必然的に1%台となるのです。
決して利幅が大きいビジネスではないのですが、会社は洋菓子を大量に売ることで利益の額そのものを増やしています。ただ売上を伸ばしたいというのはどの会社も同じですが、モロゾフの決算数値を見ていくと、その業界ならでは事情がくみ取れます。過去に製菓会社がバレンタインチョコの文化をつくるにまで至った理由を探すため、今度は四半期情報を見てきましょう。