生活に必要な財産に限られる
ただし、雑損控除の対象となる財産には、次のような条件があります。
(1)納税者本人か、扶養する配偶者、親族(所得38万円以下の人)の財産
(2)生活に通常必要な財産
別荘やゴルフ会員権などは「生活に通常必要な財産」に含まれないため対象外。また、貴金属や絵画などで1個(または1組)30万円超のものは対象外です。
自動車の場合はちょっと微妙。通勤に使ったり日常の買い物に使ったりしている場合は対象になりますが、レジャー専用だったり趣味で持っているセカンドカーなどは対象外になりそうです。
所得から差し引ける金額の計算方法
雑損控除で所得から差し引ける金額は、次の順番で計算します。
(1)「差引損失額」を計算する
「差引損失額」=「損害金額」+「災害等に関連したやむを得ない支出金額」-「保険金などによる補てん額」
「損害金額」は損害があったときの時価のこと。「災害等に関連したやむを得ない支出金額」とは、被害のあった住宅の取り壊し・撤去費用など(=災害関連支出)のほか、盗難や横領の場合に原状回復のために支出した費用が入ります。また、「保険金などによる補てん額」には、損害賠償金なども含みます。
大雑把にいえば、「損失額には関連費用も含めていいですよ、でも、保険金をもらったら差し引いてくださいね」ということになります。
(2)雑損控除額を計算する
雑損控除として申告できる金額は、下の2つのうち多いほうの金額です。
(A)「差引損失額」-「所得金額」×10%
(B)「災害関連支出」-5万円
(A)で差し引く「所得金額」×10%は、いわゆる“足切り額”のこと。所得金額とは収入から必要経費を引いた金額を指し、収入が給与だけの会社員なら、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄にある金額です。年収500万円の会社員だと、この「給与所得控除後の金額」は346万円。つまり、この10%にあたる34万6000円が“足切り額”で、これを超えた額が(A)の金額になります(源泉徴収票の見方については、捨てないで! 「源泉徴収票の見方」キホンのキ http://woman.president.jp/articles/-/924をご覧ください)。
(B)はちょっとわかりにくいのですが、たとえば火災にあった住宅を取り壊す費用は、100万円、200万円といった額になることも少なくありません。こうした支出が「災害関連支出」にあたります。取り壊し費用は火災保険で補償されないこともあり、こうしたケースなどでは(A)より(B)の金額のほうが多くなることが考えられます。
では、雑損控除を申告するとどれだけ税金が安くなるでしょうか。