不動産購入リスク軽減策(1)「何を建てるか」
賃貸併用住宅で安定収入
本連載の第2回でお伝えしたように「貸す」ことが、また前ページまでに検証したように現在は「売る」ことが住宅購入後のリスク軽減としてあまり機能しないのだとしたら、他に何か手はないか。考えられることは二つある。
一つは一戸建てにしか使えないが、あらかじめ賃貸併用住宅にしておくという手である。自分が住むだけでなく、他人にも住んでもらい、その賃料収入をローン返済に充てるのである。
実例を見てみよう。渋谷区内で予算6000万円で新築建売一戸建てを買おうとしていたS氏はそこに1000万円を追加、幡ヶ谷駅徒歩10分ほどの旗竿地を購入、全5室の賃貸併用住宅を建てた。借入額は7020万円で、毎月返済額は30万5800円。これに対して家賃収入は36万円で残りは約5万4000円。実際には税金その他もかかってくるので、投資として考えると全く利益が出ていない状態だが、ローン返済をラクにしてくれるという意味では大きく役に立っている。
ただし、当然ながら借りてくれる人がいなければこの手は使えない。そのため、立地、物件にはこだわる必要があり、S氏の物件は立地の良さに加え、建物にもこだわったいわゆるデザイナーズ物件である。評判は上々だそうだ。
また、都心近くで利便性の良い場所に住みたいファミリー向けに賃貸併用住宅を使った投資指南をしている中村友春氏が勧めるのは、目黒区、世田谷区。人気の地域限定で確実に入居者を得ることで、安定した返済をするためである。
普通に一戸建てを建設するより借入額が増えるため、躊躇(ちゅうちょ)する人も多いだろうが、単独あるいは収入合算で年収が1000万円以上あり、頭金として1000万円程度貯蓄がある人なら不可能ではない。後は踏み切れるかどうか、だろう。土地価格、建設費が高騰している現在、この手も絶対とは言えないが、検討の余地はある。詳しいやり方、必要なノウハウなどについては拙著『不動産投資成功しました』(翔泳社刊)にまとめてあるので、ご参照いただければ幸いである。