家事や育児もITでもっと楽しく

何をどう改善し、誰にそれを依頼するか、など仕事に関するメモの横に、「ネギを買う」などプライベートな予定も記す。鍋が煮えるのを待つ間、同僚とチャットすることもある。同僚とは時々、互いの子どもの話で盛り上がる。考えてみれば、以前は仕事の話に終始していた。

【写真上】「Googleイノベーションラボ」では、企業でダイバーシティ推進に取り組んでいる人たちを対象にワークショップを開催。多様な働き方を推進する取り組みの一つ。【写真下】六本木ヒルズにある本社。受付に入ると、カラフルなロゴが目に入る。奥にはガラス張りの図書コーナーが。

「最近思うのは、家事や育児もITでもっと楽しくできないかということ。育休中に子どもが遊べるゲームのプログラムを組んでみたんですけれど、そういうのをママエンジニアが集まって作ってみたら、おもしろいかな」

子育てとマネジメントの両立に関してはいまだ試行錯誤の段階と語りながらも、表情にはどこか余裕があった。

「じつは、今朝も4つほどミーティングをしてから出社しました」と、APACブランド&マーケティング担当CMO マネージングディレクターの岩村水樹氏は言った。小学生2人の子を持つ母親で、月に1度は海外出張している。取材日の朝は私用があり、どうしても在宅の必要性があったのだという。そんなとき、グーグルでは、誰でも普通に「ワーク・フロム・ホーム(自宅で仕事)」ができる。

「自宅で用事を済ませながら、そのまま会議へ。パソコンを使ってアメリカ、シンガポール、オーストラリア、台湾の4拠点と結びます」

太平洋を横断して仕事をしていると、早朝か夜間の会議が多くなる。そんなときも、テクノロジーが役に立つ。

会議をしようかとパソコンを開けば、子どもたちが興味津々で寄ってくることもある。最初のうちは、娘たちが画面に映り込んでしまうことを気にしていた岩村氏だったが、みなが「Hello!」と子どもたちに声をかける様子を見て、「これが当たり前なんだ」と思うようになった。

グーグルでは、移動時間も含めた予定はすべて「Googleカレンダー」に書き込み、社内で共有している。岩村氏はカレンダーに、子どもの運動会や遠足など、プライベートな予定も書き込むという。