今は関心がない人に、妊活情報を届けるのが使命

――「いつかは子供がほしい」と思っている女性の中でも、妊活について知識・関心がある人とない人がいます。「もっと早くに知っていればよかった!」という声をよく耳にしますが、その差はどのように埋めていけばいいと思いますか?

【石川】地道で時間がかかりますが、情報を発信し続けることは大切ですね。今までもいろいろな企業や団体が情報を発信してきていますが、まだ十分に届いているとは言えません。妊活というテーマに絞ると、すでに妊活を意識している人にしか届かないので、ファミワンからはもう少し範囲を広げた情報発信を行い、興味を持つ人を増やしたいと考えています。

写真を拡大
2016年12月6日に東京大学駒場キャンパスで開かれたワークショップのテーマは「産む/生まれるをめぐる哲学対話」。学生をはじめ、多数が参加した。

例えば「妊活のイベント」と言うと、今妊娠したいと思っている人以外は集まりませんが、「カップルヨガ」や「ファミリーフォト」のイベントにすると、妊活の周辺にいる人を集められます。さらに対象を広げて、東京大学との協力で「産む/生まれるをめぐる哲学対話」という哲学対話のワークショップや、健康歯科協会との協力で「オーラルケアから考える妊活」というイベントなどを行っています。学生やすでに子供がいる夫婦など、幅広い層の来場がありました。2016年春には、妊活・不妊だけでなく、もう少し広い観点から情報を発信するメディアを立ち上げる予定です。

――では、男性にはどのような働きかけを行っているのでしょうか。

【石川】男性は物事を効率や損得で考える傾向があるので、そのあたりを切り口とした情報発信が妊活への関心を高めると考えます。具体的には「いずれ子供がほしいなら早めに妊活した方が効率的」「男性不妊の検査を受けて、結果を知った方が後で後悔しない」と思ってもらえるように、男性の妊活についての実例や生の声を集めて発信していきます。あまり知られていませんが、不妊の48%は男性にも要因があると言われています。原因について早い段階で分かったら、それを踏まえて次のステップを考えることができますよね。