こうした経済効果を生んでいるだけではなく、実は英王室は、自ら稼ぎ税金も納めていることをご存じだろうか。

主な収入源は、世界有数の土地所有によるテナント料。それだけで年間約6800億円ともいわれている。そして、王室の敷地や宮殿内を一般公開し、見学ツアー、財宝やドレスなどの展示による入場料も収入になる。さらに「ロイヤルコレクション」なる、オリジナルグッズの開発もしており、出産や洗礼式など記念行事のたび、限定アイテムをいち早く生産し、それらを各宮殿に併設されたショップで販売する体制も整えているというからすごい。

稼ぎ頭はチャールズ皇太子だ。2015年収支報告によると、収入は約38億円。カントリーハウスでオーガニック野菜などの自家栽培も行っているほど自然保護活動に熱心であり、自身が立ち上げたオーガニックフードブランド「DUCHY ORIGINALS」の製品は、王室御用達スーパーマーケット・ウェイトローズで販売されている。

そして驚くことに、街中では、土産物店で、エリザベス女王のお顔入りグッズが数多く販売されている。日本ではちょっと考えにくい風景だが、自ら国を代表するアイコンとなり、収入を得ながら、自国の経済にも大きく貢献しているのである。

警備費や人件費、老朽化した宮殿の維持修理費という莫ばく大だいな経費は、女王、皇太子の稼ぎを含め、イギリスで最も優良な企業と称される英王室のお財布から捻出される。有能な新人ロイヤルメンバー・キャサリン妃とご子息たちの加入は、王室にとって鬼に金棒。これからどんなビジネスが登場するか、商売上手な英王室の今後に期待したい。

にしぐち瑞穂
英王室キャサリン妃研究家。初渡英でロンドンに魅了され移住。帰国後、キャサリン妃に関する解説やコラムなどで幅広く活躍中。
 

イラスト=Yooco Tanimoto