着やせして見える、立体的な服
毛見さんがデザインした服を、パタンナーが型紙に起こす。kay meの服のもう一つの特徴は、生地をふんだんに使い、立体的なデザインを実現していることだ。普通、ワンピース1着に必要な生地は1~1.5メートル程度だが、kay meでは約3メートルの生地を使い、ギャザーをたくさん寄せて服を作るので、実際に着ると立体的に見え「着やせして見える」と好評だという。
「私自身がアパレル出身ではないからだと思います。あまりコストを考えていないというか……通常よりかなりたくさんの生地を使っているので、普通のブランドさんだったら稟議が下りないかもしれません(笑)。
(kay meの服は)パターンが非常に複雑なので、そこが他のブランドさんとの差別化ポイントになっているのですが、その分縫製は難しく、工場泣かせな面があります。例えばワンピースの後ろ身頃ひとつとっても1枚ではなく、最低4枚を合わせて縫う、『この部分にこの柄を出す』など細かく指定するので、縫い合わせが難しいのです。またジャージーの生地は伸びる上、糸も伸びる糸を使うのでもともと縫製が難しいのですが、さらに縫製の指示が非常に細かいんです。『ひだを寄せた状態でここが3センチになるように』とか……こうした具合なので、10軒申し込んだら9軒断られるような感じで。ほぼ専属の工場で縫ってもらっているような状態です」