オフィスシーンを彩る、デザインと機能が両立した「PCケース」が欲しい。そんな働く女性たちの声をカタチにしたのが、オリジナルバッグブランド「FEEL AND TASTE（フィールアンドテイスト）」を展開する、ソラスタイルズの安東聡さんだ。コラボ企画で唯一の男性デザイナーによる製品が完成。そのこだわりの全貌を解き明かす。

“スエード調生地を貼り合わせることで型くずれしにくく、軽量化も可能に”

働く女性のマストアイテムのひとつといえば、たくさんのモノが整理・収納でき、見た目もファッショナブルなトートバッグだ。大容量のバッグのデザインを得意とする「FEEL AND TASTE（フィールアンドテイスト）」のデザイナー・安東聡さんが「プレジデント ウーマン」とコラボして誕生させたのは、同じ素材、同じ色のPCケースが付いたトートバッグだ。共布のポーチが付属のバッグはよく見かけるが、PCケース付きでスグレモノを探すのは意外に難しい。

撮影＝ササキヨシヒロ

まずは、バッグの中にPCケースを入れて持ち運んでも重くないように、本体を軽くしないといけないし、重量に耐えられるようストラップも強くしなくてはならない。キャンバス地でもカジュアルすぎず、ビジネスシーンにもOKなフォルム……という条件が、安東さんの前に立ちはだかった。「プレジデント ウーマン」のこんな“欲張り”とも言えるニーズに、何度も試行錯誤を繰り返して、逸品を生み出したのだ。

何しろ、安東さんは妥協とは無縁のこだわり派。「神は細部に宿る」（細かな部分にもこだわりを貫くことが、作品の本質を決めるという意味）という言葉を想起させるほどで、これは彼のモノづくりの精神を表しているといえる。

ソラスタイルズ代表兼「FEEL AND TASTE」デザイナー安東聡さん
撮影＝田子芙蓉
ソラスタイルズ代表兼「FEEL AND TASTE」デザイナー 安東聡さん
武蔵野美術大学造形学部卒業。ソラスタイルズを設立し、ブランド企画・デザイン、衣装制作、スタイリングなどを中心に活動。「モノづくりが大好きです」

例えばどのような点だろうか？

「トートバッグもPCケースもマイクロファイバー製のスエード調生地をキャンバス地に貼り合わせて、芯地代わりにしました。これなら裏地を貼らなくていいので軽いし、バッグが型くずれしにくい。さらにはスエード調が醸し出す、そこはかとない品の良さも期待できます」（安東さん、以下同）

しかし、他社では普段使いのバッグづくりのプロセスにはあまり使われない手法だ。というのもコストがかかりすぎて、バッグの価格が跳ね上がってしまうのだそう。