「何かおかしい」と思ったらすぐ行動
教育業界の経験はなく、引き受けるべきか悩んだとき、「人生は一度しかないから、好きに生きたほうがいい」という父の言葉を思い出しました。5回の転職(うち2回は起業)をした父は、永年勤続が当たり前の当時にしてはリベラルで挑戦者。自分の納得のいくように動く人なのです。
私も父に学び、「何かおかしい」「変えたい」と思ったら、すぐに自分でアクションを取るタイプ。ISAK設立準備も手探りで行動あるのみでした。実際には、トライ&エラーの繰り返し。それでも続けていくと、行動することに抵抗が減っていき、世界がどんどん広がっていくのを感じるのです。
アランの『幸福論』は、7年間に及ぶISAKの準備期間の途中で出会い、救われた本。本の中にある「期待とか楽観主義は、平和と正義と同じように人が自分で欲するときに築かれ、意志によってのみ保たれる」という楽観主義の考え方に背中を押されてきました。
このプロジェクトは、本当に予期せぬチャレンジの連続。決まりかけていた土地を諦めることになり計画が白紙に戻ったり、震災で開校が1年延びたり、そんなことが繰り返し起きました。設立のための膨大な寄付金集めに奔走する中でも断られるのは日常茶飯事。周囲は「大丈夫?」と心配そうでしたが、私はいつも楽観的だったんです。
実は、幼い頃から楽観的。遠足の日に雨が降っても、「遠足に行ってたらけがをしてたかもしれない。雨ありがとう!」って思う子でした。客観的に見たら悪いかもしれないことでも、「それでいいんだ。天がそういうふうに仕向けたんだ。ありがとう」と自然と思うようにしていたんですね。
でも、この本を読んで、それはただの性格なのではなく、意志なんだと確信を持てたのです。悲観にとらわれると、ずっと悲観的な人生になってしまう。でも、楽観っていうのは、自分で意志を持って楽観的に未来を切り開いていく人にのみ許されることなんだ、私はそう解釈しています。そして、これはこれからアジアのリーダーとして育っていくISAKの生徒たちやスタッフ、読者の女性たちにもぜひ伝えたいメッセージです。