感謝やお詫びの気持ち、社内のちょっとしたメッセージを、受け取った相手の心が震えるような文章で伝えたい。コピーライターの佐々木圭一さんと、一緒に書いてみよう!

パソコンやスマホで簡単にテキストを打ち、あっという間に用件を相手へ送ることができる今の時代。一文字、一文字、手書きで、切手を貼り、相手のもとに届くまでに最低1日はかかる手紙ほど、非効率なものはありません。けれど、手間も時間もかけるからこそ、相手に伝わるその想いはデジタルの文字で見る文章の何倍もの効力を発揮するのです。

佐々木圭一さん

ただし、気をつけなければいけないのは「手紙を書けばそれでいい」と思ってしまうこと。礼儀を重視するあまり、電報の定型文のような文章を書くと「マナー本の丸写しだな」と相手にバレバレでかえって逆効果。感謝の気持ちを伝えるお礼状や、ミスや不手際を謝罪する詫び状ならなおのこと、紋切り型の文章ではなく、コトバで感情を30%増しに表現するくらいがちょうどいい。

「心に響く文を作るのは“センス”だ」と言う人がいますが、僕はそうは思いません。美味しい料理にレシピがあるように、心に響く美しい手紙にも“レシピ=法則”があります。

例えば、喜びを伝えるなら、自分の感情や感覚を赤裸々に綴る。お詫びをするなら、相手が自分にとってどれだけ大切な存在かを具体的に表現する。すると、文面はさらにイキイキと輝きを増し相手の心を揺さぶるものへと昇華していきます。そこに書き手の息づかいまで伝わりそうな文字が並べば、その手紙は大切に手もとに残される宝物にもなりうるのです。