ぴっかぴかに整理整頓された保育室
美しいフローリングの床が磨きあげられた衛生的な保育室を見ると、安心感が広がりますね。衛生的であることは絶対に必要ですし、整理整頓は安全確保の基本です。
でも、ときどき、きれいに片付いていて、小さな体育館のように何もない保育室に出会うと、ここで一日過ごす子どもの気持ちはどうなんだろうと思うことがあります。
保育室の環境に求められることは、年齢によっても違います。
0・1歳児なら、まず、保育士のあたたかいケアを受け、安心できることが重要です。安心できる適度な広さに区切られた空間の中で、「探索活動」――興味・関心を旺盛にし、行きたいところに行こうとし、さわりたいものにさわろうとし、気に入ったおもちゃ(それぞれの発達に合ったおもちゃ)で夢中で遊ぶこと(手を使う)――が十分に保障される必要があります。
3歳以上児なら、積み木やブロックはもちろん、ごっこ遊びなどの集団遊びのための空間やおもちゃがいつでも使えるように置かれていたり、絵を描いたり工作をつくったりする表現活動のための素材が用意されていたり、物語絵本なども多様に提供されていることが教育の質として求められます。
施設の広さや園庭の有無によっても室内環境の工夫のしかたは違ってくるとは思いますが、保育室を見るときは、衛生や安全だけでなく、そこでほっと安心できるか、自分なりに楽しく遊べそうか、ママやパパも子どもになったつもりで眺めてみるとよいと思います。
1956年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経てフリーランスライターに。93年より「保育園を考える親の会」代表(http://www.eqg.org/oyanokai/)。出版社勤務当時は自身も2人の子どもを保育園などに預けて働く。現在は、国や自治体の保育関係の委員、大学講師も務める。著書に『共働き子育て入門』『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』(ともに集英社)、保育園を考える親の会編で『働くママ&パパの子育て110の知恵』(医学通信社)、『はじめての保育園』(主婦と生活社)、『「小1のカベ」に勝つ』(実務教育出版)ほか多数。