英語や体操をやる園は「教育的」?

結論から言えば、これらはあまり重要ではないし、やり過ぎていると「楽しくない園」になっている恐れもあります。

先生から何かを教えてもらうのが「教育」だと考えているママ・パパは多いと思います。でも、乳幼児に対して「教える」教育の効果は高くありません。なぜなら、乳幼児期の学びは、母国語の習得をはじめ、何もかもが子ども自身の「見たい」「さわりたい」「知りたい」「伝えたい」「遊びたい」という欲求によって促されるからです。そんな子どもの自発的な欲求に応える遊びの環境や、保育者や子ども同士のかかわりが、就学前教育の最重要部分とされているのです。

幼稚園・保育園の保育内容について調査した研究では、一斉保育(みんなで一斉に同じことに取り組む保育)が中心で体育指導の頻度が多い園と、自由保育(一人ひとりが自分のやりたいことに取り組む保育)が中心で体育指導が皆無か頻度の低い園では、後者のほうが運動能力測定の値が高かったという結果もありました。つまり、大人の指示を待って停滞している時間が長い保育よりも、子ども自身が夢中で遊び体を動かしている保育のほうが、運動能力が育ちやすいというわけです。このことは、ほかの面の育ちにも言えるでしょう。

英語や体操が子どもの楽しめる遊びのひとつとして行われているのであればマイナスではないと思いますが、英語や体操の指導に熱心な園と、自由な遊びが充実している園が天秤にかかっているなら、私は後者のほうをお勧めします。

特に英語は、少しばかりネイティブな英語を聞く時間があっても、異文化体験としてはよいかもしれませんが、将来の英語力にはほぼ関係がありません。特に0・1歳児は「アポー」などと聞かせるよりも、親や保育者が「りんごだね」「真っ赤だね」とたくさん話しかけてあげるほうが、よほど将来の学力のためになります。