そもそも「女性だから」とか「女性なのに」という言葉は的を射ているのか

もう一つ。「女性だから」とか「女性なのに」というセリフに違和感を持ってしまう原因として、「そもそもその言葉は的を射たものなのか?」という疑問があります。世の中には、性差があるためにできないこと、理解しにくいことがあるのは事実です。が、ビジネスにおける失敗の中で「女性だから」と理由をつけてバッサリと切り捨ててしまえることが、それほど多いとは思えません。

同じ失敗をしたとしても「男性だからね」というセリフを耳にすることがそれほど多くないことを考えると、そのことがよく分かるはずです。少なくとも、ビジネスシーンにおいて女性がフツーに活躍している現在の日本で、「女性だから」という言葉は、もう似合いません。

ある種のカテゴリーでくくる、また、レッテルを貼ることで話を分かりやすくするのは、多くの人が一般的に取る手段。それこそビジネス誌などでも「活躍する女性」にフォーカスする時には、どうしても「それが一般的ではない」という状態を前提に書かれるケースが多い。そう考えると「女性だから」とか「女性なのに」というセリフがビジネス社会で使われない状態になるには、まだしばらく時間がかかるのかもしれません。しかし、キャリアの曲がり角に差し掛かっている皆さんには、この言葉の使われ方が、もっと別の意味を持ってくることを、少し気にかけておいてほしいのです。

「なのに」よりも「だから」と言われる量が増える時

若い時は一生懸命仕事に取り組んでいるだけで「若いのに頑張っている」と褒められました。以前ならば女性が就かなかったポジションで働いているだけで「女性なのに素晴らしい」と称賛されたでしょう。

しかし、だんだんと年を重ねるにつれ、そのアドバンテージは失われます。経験があるのだから、仕事はできて当然。逆に失敗すると「女性だから」といわれのない切り捨てられ方になり、さらに「なのに」という語も、「ベテランなのに」というネガティブな使われ方になっていく。そう、キャリアの曲がり角に差し掛かると、褒められる言葉も機会も減ってしまうのです。できて当たり前、という感じですね。

年を重ねるにつれ、仕事ができる人ほど「女性なのに」とは言われなくなっていきます。